新傾向問題>合格トピックス>実地試験の総評(1級)
平成30年度の実地試験の出題数は例年と同じ6問でした。問題1の経験記述と問題5の施工管理は、近年出題サイクルや傾向の変化がありましたが、今年もその流れの延長にあり、昨年、一昨年ほど驚かれることもなく、他の問題についても近年の形式に沿ったものであることから、準備怠りなく冷静に対応された受験者には、難易度も特に高くはなかったものと思われます。
【問題1 施工経験記述】
「建設廃棄物対策」について、発生抑制、再使用、再生利用に関する出題であり、予想に難くはなかったものと思われます。一般的に共通な題材から選べそうですが、採点ではこれまで以上に、「経験記述」の解答として、「工事概要との整合」や、「経験ある技術者らしい視点」に厳しい目が向けられるかもしれません。
【問題2 災害に関する施工計画】
「墜落、転落による災害」、「電気による災害」、「車両系建設機械による災害」など、現場に携わる方であれば、どれも身近なものですが、解答内容に関して、細かく制限が付されていることが印象的です。このような類型的な設問に対しても、使い回しの効く解答の暗記と書き写しに頼らず、ポイントを押さえた明解な記述で解答したいものです。
【問題3 躯体工事】
躯体工事と仕上工事については、1年置きに出題形式が入れ替わるパターンに沿って、今年度は、躯体工事の正誤訂正8問の出題でした。基本事項を修得されている方には、比較的解答しやすかったかもしれません。
【問題4 仕上工事】
仕上工事についても施工上の留意事項に関する4問の出題でした。材料や工法を特定された問題もあり、やや正確な知識を問われるものもありました。
【問題5 施工管理】
施工管理については、「ネットワーク」を含む複合問題でしたが、昨年の問題などを学習された方は、あまり戸惑われることはなかったものと思われます。冷静に対処されれば基本知識で解答でき、必ずしも難問ではなかったでしょう。
【問題6 法規】
例年同様の穴埋め式問題で、出題も「建設業法」、「建築基準法施行令」、「労働安全衛生法」と頻出の3つの関係法令からで、正確な用語を選ぶことを除けば比較的解答しやすかったと思われます。
以上、本年度の実地試験は、比較的順当な出題といえましょうが、このような出題のときこそ、「解答のテーマ選定」や「説明の記述」など、これまで以上に「技術者としての適切な視点」と「簡潔・明解な表現力」が問われるのではないでしょうか。類型的な問題で高得点を目指すためには、油断することなく、設問の意図をくみ取って、より適切な解答を心掛ける姿勢が受験対策のときから有用です。
|
|