平成28年度の実地試験の出題数は例年と同様で6問出題されましたが、経験記述問題では近年の出題傾向のサイクルと異なり、また、経験記述以外の他の問題についても、やや難しい問題が含まれ、全般的には出題の難易度は例年より高かったと思われます。しかしながら、経験記述については、自身の経験をベースに応用力を養われた方には、解答しにくいものではなく、他の問題についても、これまで出題されたものもあり、充分に準備された方にとっては、的確に点を確保して、合格ラインをキープすることは必ずしも困難なものではなかったと考えられます。
【問題1 施工経験記述】
例年の出題サイクルでは、本年の出題テーマは「施工の合理化」が予測されましたが、「品質管理」が出題されました。対策を絞り込んで解答を準備された方には、戸惑われたかもしれませんが、「品質管理」は「施工の合理化」とも大いに関連するものであり、今年度の出題内容についても、これまで出題されたものであることから、経験記述対策として、充分に応用力を養われた方には、十分対応できるものであったと思われます。
【問題2 施工計画】
本年の出題は、「設備又は機械」を安全に使用するための留意事項であり、例年の出題パターンから予測されるものでした。基本知識を身につけており、解答の指定事項にそって解答すれば、難しいものではなかったでしょう。
【問題3 躯体工事】
問題3の躯体工事と問題4の仕上げ工事については、1年置きに出題形式が入れ替わるパターンに沿い、問題3については8題の正誤訂正問題でした。比較的やさしい問題とやや専門的な問題が混在していますが、過去に出題された問題を押さえていれれば、合格ラインにつながる点は確保できたことと思われます。
【問題4 仕上工事】
「仕上工事」についても、これまでの出題パターンに沿った留意事項の記述4題でした。 近年出題されている問題もあり、施工上の留意事項の共通事項から解答を導けるものなど、学科試験での対策も含めた、幅広い基礎知識と実地試験での記述対策など、応用力を養われていれば対応できたでしょう。
【問題5 施工管理】
「工程管理」についても、例年通りのバーチャート工程表からの出題でしたが、ややひねった感もあり、解答には少し時間がかかったかもしれませんが、難易度は例年並みであったと思われます。
【問題6 法規】
例年通りの「建設業法」、「建築基準法施行令」、「労働安全衛生法」の3つの関係法令からの穴埋め式問題でした。内容は必ずしも難しいものではないかと思われますが、正確な知識によらないと適切な語句を選べなかったかもしれません。
28年度の試験は、以上のように、少し出題のパターンを外したり、専門的な事項を盛り込む傾向がうかがわれ、安易な受験対策では対応しにくくなっているものと思われます。しかしながら、個々の出題内容については過去の出題を踏襲しているものも多く、丁寧に過去問を学習することと、そこから得られた幅広い知識を記述に生かす応用力を養うことが合否の鍵となったものと考えられます。
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