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2023年度一級建築士実地試験の総評
令和5年10月15日、 1級建築施工管理技士技術検定 第二次検定が実施されました。
下記に「各問ごとの講評」と「総評」を記載致します。

【問題1 経験記述】

予想出題テーマとして、4年間出題されていなかった「建設副産物対策」と、昨年出題されなかった「品質管理」が挙げられていましたが、今年度は「品質管理」の出題となりました。近年は三つの出題テーマが規則的に出題されるとは限らず、そのため、当年度に出題されるテーマの特定が困難であるから、一つのテーマのみに的を絞った準備では不充分であり、「前回の出題テーマ」を除く二つのテーマについての準備が必須となります。

設問1で問われた内容は、過去の「品質管理」の出題で求められた記述内容とほぼ同じでしたが、事例を三つ要求されたのは今回が初めてとなりました。(過去においては、事例は二つのみ求められていました。)「品質管理」についての事例は比較的記述し易いと思われますので、どのテーマの出題であっても、事例を最低三つ記述できるようにする準備が必須となると思われます。

設問2については、令和4年度、令和3年度の本試験にも出題された「組織的な品質管理活動」についての内容であり、かつ、今年度の当会模擬試験でも扱いました。これらの問題を学習された方は、解答を記述し易かったのではないかと思います。

【問題2 仮設物の設置計画】

3問中2問は当会模擬試験や、過去問からの出題でした。
・建設用リフト   → R2 H30
・場内仮設道路  → HR5当会模擬試験 H30(臨時※) H25
           ※「通常」と「臨時」と計2回行われた二次検定試験の中の「臨時」

初出題となる「くさび緊結足場」についての設問が1問含まれていました。
・くさび緊結足場 → 類似のテーマとして「外部足場」を今年度の当会演習問題で扱いました。又、R2 H27の本試験にも「外部足場」の出題がありました。「外部足場」についての記述事項の内、「くさび緊結足場」と共通する項目について記述すれば、解答し易かったのではないかと思われます。

【問題3 工程管理】

例年通りに、ネットワーク工程表の出題でしたが、ネットワーク工程表を読み解くための基本的な知識があれば解答できる問題でした。ポイントとしては、例年と同様に、与えられた問題文より、ダミーアローを追記する位置を正しく読み取ることができるかという点でした。ダミーアローを追記できるか否かが解答の鍵になる傾向は、今後も続くと思われます。

【問題4 仕上施工】

ほぼ過去問からの出題でした。「山留め壁に鋼製切梁工法の支保工を設置する際の留意事項」のみ初出題でしたが、「プレロード導入時の留意点」や、「切梁設置時の留意点」を把握していれば、それらの応用により解答を組みたてられたのではないかと思われます。

・「バーサポート又はスペーサーの設置」 → H29
・「床型枠用鋼製デッキプレート」 → R5当会模擬試験 H27
・普通コンクリートの密実な打ち込み  → R1

上記が過去の出題歴となりますが、問題文に指示されている「記述内容についての但し書き」に従って解答が記述されているかがポイントとなります。今後も「記述内容についての但し書き」は、注意深く読み取る必要があります。

【問題5 躯体施工(五肢択一)】

第1問の「塩化ビニル系樹脂系シート防水」のみ新規出題となりましたが、その他の設問は基本的な事項を習得していれば対応できる内容であり、過去問を繰り返し練習していれば容易に正答肢に辿り着けられたと思います。特に、第6問は当会模擬試験で、第8問は当会演習問題でも扱いました。

【問題6 法規(五肢一択)】

・建設業法第24条の3:過去10年に於いての出題は有りませんでしたが、第24条の他の条文は頻繁に出題される条文ですので、今後は関連条文にも目を通しておく必要があると思われます。
・建築基準法施行令第136条の3第4項:初出題の条文でしたが、建設業法と同様、関連条文に目を通しておけば容易に解答できたと思われます。
・労働安全衛生法第10条:過去に頻出している条分ですので、取りこぼしを避けたい問題です。

【総評】

今回の試験の各問題の難易度は下記のとおりです。

・問題1           → やや難
・問題2・問題3・問題4  → 標準
・問題5           → やや易
・問題6           → 標準

新規出題問題も若干含まれていましたが、総じて標準的な難易度であったといえます。

1級建築施工管理技士講座

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