令和4年10月16日、 1級建築施工管理技士 第二次検定が実施されました。
下記に「各問ごとの講評」と「総評」を記載致します。
【問題1 経験記述】
予想出題テーマの第一候補として、3年間出題されていなかった「建設副産物対策」が挙げられていましたが、問1では「労働生産性の向上につながる現場作業の軽減」についての記述が求められ、これは、平成30年の「臨時試験」以来の出題となりました。
当時の問1は4題の設問からなり、また、記述が求められた事項は合計5項目でした。今回は設問が3つに減りましたが、記述を求められた事項は、やはり合計5項目でした。「建設副産物」と、出題予想テーマ第二候補の「施工の合理化」を準備されていた方が大半かと思われますが、「施工の合理化」で準備した内容を、うまく今回の出題テーマに置き換えられたかがポイントとなります。更に、平成30年「臨時試験」では、「2つの事例につきそれぞれ5項目」が求められましたが、今年は「3つの事例につきそれぞれ5項目」が求められました。記述量も増え、又、記述する項目も高難度となりました。
問2では「建設現場において昨今不足している労働者確保」について問われました。業界においての大きな課題となっていますが、受験生が日頃、この課題にどの様な問題意識をもって業務を行っているか、率直に問われた訳です。付け焼刃的な解答では通用しない難問であったと言えます。
定番として出題されていた3つの出題テーマに対する「解答の定型化したテンプレート化」のみでは通用せず、求められた問いかけに対してどれだけ適格に回答を生み出せるかの力量が必要となってきました。更に、施工管理技士として、業界における様々な課題に対する見識も問われる傾向が見えてきました。「経験記述」の出題内容に、大きな変化が生じていると言えます。
【問題2 仮設・安全】
3問中2問は過去問からの出題でした。
・墜落、転落による災害 → H30 H26
・崩壊、倒壊による災害 → H26
初出題となるテーマが1問含まれていました。
・移動式クレーンによる災害 → H26の3問目に「重機関連災害」が出題されており、当会作成の演習問題集にも「重機関連災害」についての設問がありましたので、 練習された方は解答し易かったかと思われます。
総じて、3テーマともに、比較的記述し易いテーマであったと思われます。
【問題3 工程管理】
例年通りネットワーク工程表の出題でしたが、昨年受験生を悩ませた「山均し・山崩し」の問題は出題されず、昨年よりは取り組みやすかったと思います。しかし、4問目の問題文を正しく解釈し、ネットワーク工程表を問題文の趣旨に沿って書き換えられたか否かがポイントとなりました。やや難易度は高く、施工管理技士としての実践力が試されたと言えます。
【問題4 躯体施工】
ほぼ過去問からの出題で、難易度は標準的でした。
( ◎→留意事項の記述)
・アスファルト防水保護層の平場部施工→ ◎H30(通常※) ◎H28
・フローリング釘留め工法 → ◎R4当会模擬試験 ◎H26
・外装薄塗材E仕上工事 →◎H30(通常) ◎H26(類似テーマ→防水系複層塗材E)
・外壁への鋼製建具取付け→ ◎H30(通常)(類似テーマ→アルミニウム製笠木取付け)
上記が過去の出題歴となりますが、H30(通常)の「アルミニウム製笠木取付け」と、H26の「防水系複層塗材E」を学習されていれば、全問対応は可能であったと思われます。
※「通常」と「臨時」と計2回行われた二次検定試験の中の「通常」
【問題5 仕上施工(五肢択一)】
選択肢の形式が昨年から変わり、正確な知識が求められるようになりました。が、設問自体は基本的な事項を習得していれば対応できる内容であり、過去問を繰り返し練習していれば容易に正答肢に辿り着けられたと思います。
【問題6 法規】
全て過去問と同じ条文からの出題でした。
・建設業法第24条の6第1項 → H25
・建築基準法施行令第136条の5第2項 → R1
・労働安全衛生法第29条の2 → H27
【総評】
試験制度改正後の二回目の二次検定となりましたが、
・問題1 → 難しい
・問題2・問題3・問題4 → 標準
・問題5・問題6 → 易しい
上記のような難易度となり、配点が高いと思われる問題1が難しいため、総合的に難易度は高かったと言えます。
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