2019年度の実地試験の出題数は例年と同じく6問でした。平成30年度には臨時試験が行われていますが、各問の形式やテーマは通常の試験の出題サイクルに準じており、予想に難くはなかったものと言えましょう。
問題5の施工管理では、平成29年度からネットワーク工程表の問題になり、一部に新傾向が見られますが、他の問題も含めて過去の出題の延長上のものがほとんどであり、着実に準備され冷静に解答されれば、合格ラインはキープできたものと思われます。
【問題1 施工経験記述】
例年の出題サイクル通りに「品質管理」の問題であり、設問も過去に見られたものです。
「工事概要」に示される工事の内容や「あなたの立場」が、施工管理技術者にふさわしい解答の記述としてまとめられているかを問われるものです。受験者が題意に沿った解答を適切に記述できたかが、評価の分かれ目であり、合否につながるものと思われます。
【問題2 仮設・安全】
今年度は「仮設物の配置計画」でしたが、「仮設」に関しては、「計画」のほかに「作業に関する留意事項」や「災害発生の防止対策」などの設問もあるので、解答に際して混同や記述内容の混在がないように注意しなければなりません。
出題された仮設物はどれも一般的なものであり、題意を外さなければ十分得点できたでしょう。
【問題3 躯体工事】
躯体工事と仕上げ工事については、1年置きに出題形式が入れ替わる通常のサイクルに沿っており、今年度の躯体工事は「施工上の留意事項」の記述4問でした。
「地盤アンカー」は、やや専門性の高いものですが、他の設問はかなり一般的な事項であり、得点を確保するには比較的容易であったと思われます。
【問題4 仕上げ工事】
仕上げ工事についても通常のサイクルに従って、正誤訂正8問でした。
4問が数値を問うものですが、3つの中の1つに対する正誤訂正であり、他の問題も含めて基礎知識についてのものであり、総体的に難しくはなかったでしょう。
【問題5 施工管理】
ここ数年の出題に従って、「ネットワーク工程表」に関するものしたが、暦日の要素を加えたややひねった出題でした。しかし、基礎知識から容易に解答できるものも多く、新傾向の設問についても、工程に関して正しい理解をされていれば、必ずしも難問とは言えなかったのではないでしょうか。
【問題6 法規】
例年どおり「建設業法」、「建築基準法施行令」、「労働安全衛生法」からの穴埋め式問題でした。「用語」は法規の記述と同じである必要があるので、受験対策上は確実な得点を期待するのは難しいですが、基本事項に関するものであり、過去の出題の学習がかなり有効なものでもあります。
以上、本年度の実地試験は、比較的順当な出題であり、合格ラインをキープするには難易度の高いものではなかったものと言えましょう。
このような出題のときこそ、「経験記述」では「建築施工管理技術者」にふさわしい解答が求められましょうし、合格を確実にするためには、他の問題において、つまらぬ失点を避けて得点をキープすることが有用です。試験にあたって、事前の対策を十分生かせるように、冷静な対応で題意に沿った解答を心掛けましょう。
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