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合格トピックス講座

40 改修工事①

【No.1】耐震改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 柱補強工事の溶接金網巻き工法において、流込み工法によってコンクリートを打ち込み、打込み高さ1m程度ごとに十分に締固めを行った。
  2. 既存の柱と壁との接合部に耐震スリットを新設する工事において、既存の壁の切断に用いる機器を固定する「あと施工アンカー」については、垂れ壁や腰壁への打込みを避け、柱や梁に打ち込んだ。
  3. 柱補強工事の連続繊維補強工法において、連続繊維シートの貼付けは、貼り付けた連続繊維シートの上面に、下塗りの含浸接着樹脂がにじみ出るのを確認してから、上塗りの含浸接着樹脂をローラーで塗布した。
  4. 鉄筋コンクリート造の耐力壁の増設工事において、既存梁と接合する新設壁へのコンクリートの打込みを圧入工法で行うに当たり、型枠上部に設けたオーバーフロー管の流出先の高さについては、既存梁の下端から10cm高い位置とした。

【解説】

2.『耐震スリット』とは、耐震壁において「垂壁」や「腰壁」が柱と一体化していることにより、実質的に柱が『短柱』となって脆性破壊を生ずることを防ぐために、柱が「垂壁」や「腰壁」と取り合う部分に入れて耐震性を向上させるものである。
建築保全センター「公共建築改修工事標準仕様書(平成22年版)8.22.2より スリット施工の際にあと施工アンカーを用いて機器を固定する場合は、柱梁への打ち込みを避け、垂れ壁、腰壁を利用する。

正解 2

【No.2】外壁改修工事及び防水改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. モルタル外壁の塗装表面に付着したエフロレッセンスについては、表面に浮出した白色物質を、ワイヤーブラシで削り、水洗いによって完全に除去した。
  2. モルタル塗り仕上げ外壁の浮き部分の改修工事において、アンカーピンニング全面エポキシ樹脂注入工法を用いたので、全ネジ切りアンカーピンを固定するために使用するエポキシ樹脂の種類を硬質形、粘性による区分を低粘度形とした。
  3. 砂付あなあきルーフィングを用いる絶縁工法によるアスファルト防水層の改修工事において、施工時の降雨に対する養生方法の特記がなく、新規防水層の2層目のルーフィング張りまで終えたので、1日の作業終了後、シートによる降雨に対する養生は省略した。
  4. 既存のウレタンゴム系塗膜防水を撒去せず新規にウレタンゴム系塗膜防水を施す改修工事において、既存防水層のふくれ部分については、カッターナイフで切除し、ポリマーセメントモルタルで平滑に補修した。

【解説】

2.建築改修工事監理指針4.4.11より 注入するエポキシ樹脂は、JIS A 6024の硬質形の高粘度形又は中粘度形の使用を原則とするが、モルタルが著しく挙動すると思われる部分では、軟質形の高粘度形又は中粘度形を用いることも考える。

正解 2

近年関心が高まっている「改修工事」の問題です。No.1は「耐震改修」に関するものですが、今後出題の増加が予測されます。耐震性能の強化手法については基本的な知識を習得しておきましょう。
No.2はこちらも建物の改修では需要の多い「外壁」と「防水」など「雨仕舞」に係る出題です。これらの改修ではすべてを対象範囲とすると大規模なものになりがちです。改修工事では、工期が長くとれないことや建物を利用しながら改修を進めることなども少なくありません。また改修自体に要する工事費の他、養生や安全対策の費用、あるいは廃棄物の処理なども考慮する必要があり、経済面も改修計画の重要な要素と言えましょう。
事前の調査によって、建物の劣化状況と耐用年数に応じた合理的な計画を行うことが有用で、適切な工法と対象範囲の選定を行います。このようなことから「改修工事」についての出題では、新築時の工事とは少し異なった、従前の状況や施工期間中の対策などを踏まえた内容のものとなります。

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