附属伝統建築研究所 |
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平成20年度住環境管理講座の開催報告(社)全日本建築士会の公益事業として実施している建築士試験の内容とも関係の深い、平成20年度住環境管理講座が、12月20日(土)、全日本建築士会本部道具館ホールで開催され、高崎市・小田原市はじめ関東近県の受講者が多数、熱心に受講された。講義概要は次の通りである。なお、住環境管理講座へのお問い合せも受け付けております。 木造住宅の耐震診断と耐震改修先に大きな被害を受けた阪神淡路大震災を経て、今日、改めて大規模地震に対する予防の必要性が認識され、関心が高まっている。この大地震では、大規模な建物の他に住宅についても大きな被害を被ったが、特に在来木造住宅の被害が大きいとも報じられた。 しかし、これは、比較的築後年数の長く経過した古い在来木造住宅が多かったことに起因する可能性が高いことも考慮する必要がある。いずれにしても、この機に木造在来構法による住宅への耐震診断、耐震改修の必要性への認識が高まることとなったのも事実といえよう。なお、阪神淡路大震災後に制定された耐震改修促進法においては、特に1981年の耐震基準の改定前に建てられた一定規模以上の大規模建築物について、耐震診断、耐震改修を促すもので、あくまでも努力目標に留まるもので強制力を伴うものでなく、また、一般住宅は対象外となっている。 以上からも一般住宅の耐震診断、耐震改修は主に自治体レベルの施策に委ねられた形となっている。このような状況の中で、耐震診断や耐震改修の費用の一部に対して、補助金による助成や税の減免等の施策を実施している自治体も少なくないが、現在、一般住宅の耐震診断、耐震改修は、懸念されるものに対して、20%から30%程度行われたに過ぎないとされており、大きな社会問題ともなっているのは周知の事実である。一般住宅の耐震診断、耐震改修が進まないのには、それらに要する費用や意識の問題など様々な要因が考えられるが、在来木造住宅についての耐震診断技術が必ずしも一般的に認知され広まっていないのも要因の一つと考えることができる。 現行の建築基準法では、木造の柱、梁の架構であるラーメンについての水平耐力を0と見なし、もっぱら壁体の耐力を地震力である水平力に対して抵抗するものとしている。これは本来の木造伝統構法の架構の継手の耐力を無視したものであるともいえるが、他方で、伝統構法に対しての技術、技能の優劣に余り左右されることなく、一般的に木造建築の一定の安全性を確保するためにとられた方策であると考えることができる。このため、伝統的継手によるねばり等を期待する代わりに、金物を多用し比較的簡単に接続箇所を固める構法が採られるようになった訳である。 ところで、近年建築基準法にも国際化、規制緩和の流れを受けて、従来の仕様的規定の他に性能的規定が大幅に取り入れられるようになってきて、その一環として、木造建築についても性能基準ともいうべき限界耐力計算法による構造設計が認められるようになってきた。これにより、木造の伝統的継手について、復元力を仮定するなど、伝統木造建築のねばりによる耐力を構造設計に反映することが可能となり、伝統構法の今後の展開に向けての大きな可能性が期待されるものと考えられる。 一方、耐震診断、耐震改修の対象となる木造住宅には、伝統構法、またはそれに近いようなものも多数含まれている。これらのものを地震力に対してもっぱら壁の耐力に期待する現行建築基準法による考え方を適用して診断することは余り意味がなく、限界耐力計算法の考え方をある程度取り入れた診断法によることが必要とされる。 他方、限界耐力計算法自体は、相当高度な判断を要する計算法でもあり、この考え方を直ちに一般に適用することは現実的とも言えない。このため、限界耐力計算法の考え方を基としつつも、それを一般に利用できるように工夫した耐震診断法の普及とその理解が、在来木造住宅の耐震診断、耐震改修を進めて行くためには不可欠のことと考えられる。 最近の法改正1、新しい建築士法(平成20年11月施行)建築士制度の見直しの概要について
イ、建築士の資質、能力の向上1.受験資格の見直し
・学歴要件では従来は「所定の学科卒業」が「国土交通大臣が指定する建築に関する科目を修めて卒業」と変更される。 2.一級建築士試験内容の見直し
・現行の学科1(計画)について、「計画」と「環境・設備」の2科目に分離し、合計5科目とする。科目ごとの設問数は学科1(計画)20問、学科2(環境・設備)20問、学科3(法規)30問、学科4(構造)30問、学科5(施工)25問の計125問となり、5枝択一式から4枝択一式に変更される。 3.定期講習制度の創設建築士事務所に所属する建築士に対し、3年ごとの定期講習の受講が義務付けされる。内容は、1日間(6時間程度)で講義の後、終了考査が実施される。 ロ、高度な専門能力を有する建築士による構造設計及び設備設計の適正化1.構造設計一級建築士/設備設計一級建築士制度の創設一級建築士として5年以上構造設計/設備設計に従事した後、講習を終了し、構造設計一級建築士/設備設計一級建築士証の交付を受けた者を構造一級建築士/設備設計一級建築士とする。 2.一定の建築物について法適合確認等の義務付け
高度な専門能力を必要とする一定の建築物の構造設計/設備設計に関し、構造設計一級建築士/設備設計一級建築士の関与(自ら設計する、または、法適合確認を行う)の義務付け
・構造設計の場合(鉄筋コンクリート造高さ20メートル超、鉄骨造4階以上等) ハ、設計・工事監理業務の適正化、消費者への情報開示1.管理建築士の要件強化建築士事務所の管理建築士になるためには、建築士として3年間の所定の実務経験を積んだ後、管理建築士講習の受講が義務付けられます。 2.管理建築士等による重要事項説明の義務付け設計・工事監理契約の締結前にあらかじめ、管理建築士等が、建築主に対し重要事項(設計図書の種類、報酬の額等)について、書面を交付して説明を行うことが義務付けられた。 2、開発許可の改正(平成19年11月施行)都市計画法のよる開発許可制度の改正の概要
1.公共公益施設の立地従来、一定の集落等が形成されている場所に、規模の小さいものが立地することを想定し、開発許可は不要とされていたが、高齢者を含めた多くの人々にとって便利な場所に立地するよう、まちづくりの観点から適否を判断する等により、開発許可制度が適用される事に改正された。 2.許可不要な開発行為(社会福祉施設等に係る開発行為)の見直し生活関連施設である保育所、学校(大学、専修学校及び各種学校を除く)や主として周辺の居住者が利用する診療所、助産所及び児童養護施設、特別養護老人ホーム等が許可不要から許可を要すること改正された。 3、建築物の構造計算1.建築物は、その自重、用途に応じた積載荷重(居住人員、家具、設備機器、商品、自動車の荷重)を安全に支持する構造とし、積雪、風圧、土圧、地震及び衝撃に対しても安全な構造のものとして、法令で定める技術基準に適合しなければならない。(法第20条第一号)2.構造計算を要する建築物(法第20条第一〜三号、令第81条)
ア 高さが60メートルを超える建築物 3.構造計算(令第81条〜第82条の6)高さが60メートルを超える建築物の構造計算は時刻歴応答解析等の構造計算を行い、国土交通大臣の認定を受けなければならない。また、その他の建築物は規模、構造により、層間変形角、保有水平耐力計算、限界耐力計算、許容応力度計算をしなければならない。 樹(森林)・木(木材)の効用生物材料である木材は人と地球に優しく、居住性にも優れている。木材の持つ主な機能は大きく分けて3つあり、次のとおりである。 1.地球環境の保全
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